◼︎貴金属に属する素材について
ジュエリーに幅広く用いられている「貴金属」ですが、具体的にどのような金属を指すのかご存じですか?
日常的に目にするゴールドやシルバー、そして結婚指輪などに使われるプラチナ。これらはすべて「貴金属」と呼ばれ、見た目の美しさだけでなく、化学的な安定性や希少性を兼ね備えている特別な金属です。
今回は、そんな貴金属の世界について、
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そもそも貴金属とは何か?
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代表的な貴金属(ゴールド・プラチナ・シルバー)の素材について
といった観点から、ご紹介させていただければと思います。
そもそも貴金属とは何か?
「貴金属」とは化学的に安定していて錆びにくく、希少性と美しさを兼ね備えた金属のことを指します。
貴金属として認められているものとしては、金(Au)、銀(Ag)、この種類に加えて、白金族元素(PGM:Platinum Group Metals)と呼ばれる、プラチナの仲間の金属プラチナ(Pt)パラジウム(Pd)ロジウム(Rh)ルテニウム(Ru)オスミウム(Os)イリジウム(Ir)の6種類になります。これらの金属は、酸化や腐食に強いため長期間美しい状態を保つことができ、さらに産出量が少ないため、高い価値を持ちます。
代表的な貴金属(シルバー・ゴールド・プラチナ)の素材について
◼︎シルバー
シルバーは、美しい光沢と手頃な価格でジュエリーに広く使われている貴金属です。主に「シルバー925」や「スターリングシルバー」として知られており、これらはほぼ同じ意味で使われることが多いですが、厳密には違いがあります。
・シルバー925
銀が92.5%、残りの7.5%は銅やその他の金属が含まれた銀合金のことを指します。銀は純度が高いほど柔らかく変形しやすいため、硬さや耐久性を高めるために他の金属と混ぜて使用します。
・スターリングシルバー
銀92.5%、割金7.5%がすべて銅で構成された銀合金のことです。銅以外の金属が含まれていまた、シルバーには純度の高い「シルバー999(99.9%銀)」や「シルバー958(95.8%銀)」「シルバー950(95%銀)」もありますが、純度が高いほど柔らかくなり、日常使いのジュエリーには向いていません。
シルバー製品は経年で空気中の硫黄と反応して変色(硫化)することがありますが、磨き直すことで元の輝きを取り戻せるのが特徴です。また、いぶし加工によるアンティーク風の色合いも人気があります。
◼︎ゴールド
ゴールドは、ジュエリーで非常に人気の高い貴金属で、主に「金の純度」を示す「K(カラット)」という単位で表されます。一般的に使われるのは、24Kを基準に、硬さや耐久性を高めるために他の金属と混ぜた合金です。
代表的なゴールドの種類には以下があります。
・24Kゴールド(純金)
純度99.9%の金で、とても柔らかく変形しやすいため、ジュエリーとしては加工が難しく、単独で使われることはあまりありません。
・18Kゴールド(K18)
金75%に対し、残りの25%が銀や銅、パラジウムなどの割金で構成されています。耐久性と美しさのバランスが良く、高級ジュエリーで最も多く使われています。
・14Kゴールド(K14)
金58.3%、割金41.7%で、耐久性が高く比較的手頃な価格帯のジュエリーに多く用いられます。
・10Kゴールド(K10)
金の含有率は41.7%で、他の成分(銀・銅・亜鉛など)が58.3%含まれています。金の割合は低めですが、非常に硬く傷がつきにくいため、耐久性に優れています。価格も比較的安価で、日常使いのジュエリーやファッションアクセサリーとして人気があります。ただし、金の含有量が少ないため、色味がやや淡く、アレルギー反応を起こす可能性もあります。
ゴールドの合金に使われる割金の種類や割合によって、イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールド、グリーンゴールドなど、さまざまな色味が表現されます。特にホワイトゴールドはプラチナと並ぶ人気のホワイト系貴金属として知られています。
◼︎プラチナ
プラチナは、非常に希少で高価な貴金属の一つで、ジュエリー素材として特に人気があります。日本では「白金(はっきん)」とも呼ばれ、純白に近い美しい銀白色の輝きが特徴です。プラチナは純度が高いほど柔らかくなりやすいため、ジュエリーには純プラチナ(Pt1000)にわずかに他の金属を加えた合金が使われます。代表的なプラチナの純度は以下の通りです。
・プラチナ950(Pt95)
プラチナ95%、残りの5%は主にルテニウムやイリジウムなどの添加物で、耐久性と加工性を高めています。日本のジュエリーで最も一般的に使われる純度です。
・プラチナ900(Pt90)
プラチナ90%、残り10%が割金で、耐久性に優れながら価格を抑えたジュエリーに用いられます。
プラチナは変色しにくく、非常に安定した金属なので、長期間にわたり美しい輝きを保ちます。また、重厚感がありながらもアレルギーを起こしにくい性質から、特に結婚指輪などの一生もののジュエリーに適しています。
普段何気なく身につけている貴金属ですが、その成り立ちや特性を理解することで、より価値を感じられる気がしますよね。
素材の良さを知って、大切なジュエリーと向き合ってみてはいかがでしょうか。