◾️ステンレスでも金属アレルギーになる?
いつもScatをご愛顧いただきありがとうございます。
今回はご質問が大変多いステンレスと金属アレルギーの観点から解説していきます。
| そもそもステンレスとは?
ステンレスは英語でstainless steelと言い、直訳すればステンレス鋼となり、これが日本での正式名称となります。stainlessとは「さびない」と言う意味です。厳密には「さびにくい」という意味も含まれます。
ステンレスの主成分は鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上となっています。本来は錆びやすい鉄にクロムを合金することで、表面が不導体被膜という酸化物で覆われるために酸化しにくくなっています。
ですが、特定の環境・使用条件の下では「さびる」ことがありますので正しい使い方をする事が大切です。
| ステンレスと金属アレルギー
そもそもステンレスには金属アレルギーの原因になりやすいクロム・ニッケル・鉄が含まれています。
また、表面を覆っている不導体被膜は塩素に弱い性質を持ちます。
塩素は水道水の水滴や海水、人間の汗にも含まれています。
このような塩素にさらされるような状況では不動態皮膜の再生が間に合わず、腐食(錆び)が進行してしまうことも…。
そのため金属アレルギーを起こしやすい素材と言われています。
| ステンレスとサージカルステンレスの違いは?
サージカルステンレスとは、ステンレスの中でも医療用に使われる規格に対して使われる名称で、一般的なステンレスとの違いは規格による性質の差です。
サージカルステンレスで有名なのがSUS316とSUS316Lという規格です。
これは医療用に使われるだけあり、一般的なステンレスよりも耐食性が高く、金属アレルギーを引き起こしにくいとされています。 SUS316とSUS316Lはクロムとニッケルの他にモリブデンを合金し、このモリブデンにより耐食性を高めており、そのぶん価格が上がる傾向にあります。
1つ注意していただきたいことが、 サージカルステンレスという名称を使用するための基準が存在しないという点です。
すなわち、例えSUS316Lよりも耐食性が劣り安価で製造されるSUS304をサージカルステンレスと謳っても問題がないのです。このSUS304はクロム18%、ニッケル8%の合金で、高価なモリブデンを使用していない素材にも関わらず、です。
このようにサージカルステンレスという名称には明確な区別がありませんので、アレルギーが心配な人はしっかりと規格を確認してください。
また、いくらモリブデンで不動体皮膜を厚くしても、素材はニッケルやクロムなどが含まれるため絶対に金属アレルギーが出ないとは断言できないということも覚えておいてください。
正しい知識を持ってアクセサリーを選択していただければ幸いです。
| まとめ
今回はステンレスと金属アレルギーについてお伝えさせていただきました。ステンレスの素材自体は金属アレルギーを引き起こしやすいものを含んでいますが、一部のサージカルステンレスでは金属アレルギーを引き起こしにくいものもございます。
ジュエリーは金属である限り、100%金属アレルギーが出ないとは断言できません。
ご自身の体質と多くの正しい知識を持って今後のジュエリーライフの参考にしていただければ嬉しいです。
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